Statement

失われたものの「声」を呼ぶこと、呼び覚ますことをテーマに、現代の人々、忘れ去られた者、また人以外の自然界のコトバと協同して、無数に存在する認識や語り、多視座を世界の表舞台に召喚する。近年では再生しながら消えていく音響を扱うことであらたな口伝えの形態となりえる表現も探求している。

作品としては、1945年の戦時下に若い女性たちによって書かれた手紙を朗読した「Polyphony1945」(資生堂ギャラリー、2019)、一対一のインタビューを通して非日常的な語りを発生させた「インタビューセッションセラピー 交わるとき、あなたの語ることの声」(Yale Union 米国、TERA TO TERA祭り 2018)などがある。

現在は、福島県の牛飼い農家と星の専門家と協同して実施するプロジェクトを計画し、継続活動中。原発事故後10年以上を経て帰還困難区域の解除が進むなか、事故によってより顕在化した近代以後のヒトとヒト以外の動物を含めた自然界との関係性について、星の時間、動物の時間、核廃棄物の時間を越境しながら、語り、儀式、記録映像、サウンド表現を通じて問い直す試みとなる予定。プロジェクトは2020年よりリサーチ、ワークショップ、撮影等が始まっています。

Kobayashi's artwork summons countless perceptions, narratives, and multiple perspectives, to the world stage in collaboration with the voices (including the silence) of contemporary people, the forgotten, and the lost. In recent years, she has been searching for a new form of oral expression by handling voices as sound that disappears while being played.